Dream Theater



青年は、のんきな気質だった。

だから、変なところで寝ていたり、体が痛かったりしても、
「最近、寝相が悪いなあ」
くらいにしか考えていなかった。

しかし、目が醒めたら外だったり、
肩から胸にかけて大きな切り傷が出来ていたり、
あまつさえその目の前に人が大怪我して倒れているようなことが増えるに至って、
流石に頭を抱えるようになってきた。

俺は一体寝ている間に何をしているんだ?
何が起こっているんだ。

だが、思い当たることはない。
たった、一つを除いては。



夢。
その夢をみるときは落ち着いていて、寝ていた場所で目が醒めるし、体も痛くない。


けれど、その夢は暗かった。


ただ、ただただ真っ暗で。
何も見えなくて。見えるのは闇だけ。
見えているのかいないのか。
目を開いているの閉じているのか自分でも分からない。

そんな深い深い闇の中で。

何かが触れる。
柔らかく優しく、けれど冷たい何か。

――かわいいひと

それは唇に触れ。

――愛しいひと。

頬に触れ。

――嗚呼、憎いひと

青年を、蹂躙する。





夢を見ない日は、目が醒めるとひどく体が疲れている。
夢を見る日は、目が醒めるとひどく心が疲れている。

これは、病気なのか。
きっと悪い病気だ。

青年は、難病奇病を治すという風来の医者を探す旅に出た。

これは病気だ。
病気ならきっと治る。
医者さえ見つかれば、治してもらえる。

青年はのんきな気質だった。



「拝啓、母上様。
 今日も、夢見が悪いです・・・・・・。」





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